#3_速いことは良いことか

2016.6.24

日々の生活の中で、待ち時間というのは
本を読んだりネットしたりする時間にあてられるので良い時もありますが、
仕事においてはストレスになることも多いので、できるだけ作業を効率化して
待ち時間を減らすというのは命題でもあります。
 
 
しかし作業の殆どをPCに依存しているこの時代、こと映像制作においては
いくら自分が頑張ってもどうにもならない時間のかかり方をしてしまうことがありますので
そんな時のためにパーソナルなレベルでの高速化を常に意識しています。
 
 
起動でも、演算処理でも、ネットでも、PCは速いにこしたことはないと思っているので
「時間をお金で買う」という考え方を元に、多少高価でも私は速さを取ります。

 
 
 
■高速化①:SSDを使う
PCの高速化の代表といえばSolid State Drive。

もはやSSDの利点はここで挙げるまでもないですが、
駆動部がないので耐久性があり小型・軽量・省電力、そして何と言っても高速!
デメリットは容量あたり価格が高い、搭載されているNAND型フラッシュメモリには
書き換え制限があるので寿命があり、少しずつ速度は低下するとのこと。
詳しくはこちらが参考になるかと思います。
 
 
本来は何度も細かいファイルの書き込みが繰り返される編集には向かないとのことですが、
それでもHDDより数倍高速なSSDを使わない理由がありません。
 
 
一つ例を挙げますと、
とある2時間半のライブをSony F55FS7で XAVC 4K 24P収録しました。
その際の1cam分のデータが265GB。
この4Kカメラが計6台ありまして、加えて民生機の4Kカメラ素材が115GB×3台。
さらにHDのSW-OUTのXDCAMデータ40GBを加えて約2TBのデータになりました。
 
 
この2TBのデータ(収録メディアを1枚ずつ)を撮影終わりでコピーしなくてはならないとなると、
HDDで普通にやっていたら無理です。普通は1日かけてじっくりやります。
 
でもデータコピーに終日とられるのは嫌なので、
こういう時こそ時間を買うという観点で機材を揃えます。
結果、960GBのSSD 3枚とMacBook Proを3台駆使して、
一人でも撤収までの2時間ほどで全データのバックアップをとることができました。
それを持って帰社後にゆっくりHDDにダブルバックアップし、完成するまで大事に保管します。
 
 
ということで、
最近は会社に高速かつ大容量のHDDを据え置いて大事な保管場所とし、
オフライン編集はポータブルのSSDにワークデータを入れて作業をしています。
 
 
こちらが使用している960GBのSSDと2.5インチのケース。Sandisk Extreme Proシリーズは安心感あります。
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複数台で振り分けて作業したりする場合はいいのですが  
何台も繋げて作業する場合はUSBのハブだとか他の機器も必要だったり
トラブルの起きる確率も上がります。
ようやくSSDの市場価格はこなれてきたものの、SSDの容量としては1TBが主流。
SAMSUNG製の2TBも出てきましたがまだまだ高価なので
大容量のデータを扱うライブものなどはまだちょっと辛い状況です。

 
 

■高速化②:RAIDを使う

もう一つ、高速化の代表と言えばRAID。
 
こちらもRAIDとは、と改めて説明するまでもないですが
すごくざっくり言うと複数のHDDを連結させて1台のHDDと認識させて、
内部で作業を分担させて高速化するという感じです。
これがRAID-0のストライピングと言います。
 
弱点としては機械が増えれば故障する機会も増えるということや、
1台のHDDが故障してデータが壊れると他のHDDも認識されなくなるということです。
 
RAIDには他にも種類があり、代表的なのはRAID-1のミラーリングと言いまして
内部でファイルの複製を作るもので、書き込みに時間がかかります。
また、仮に2台のHDDを使っても1台分の容量しかありません。
その分、耐障害性が高く1台が壊れても復旧ができるという利点があります。
 
詳しく知りたい人はこちらのサイトにとても詳しく分かりやすく書いているのでどうぞ。
 
 
 
速度重視派の私としてはRAID-0でThunderboltのRAIDケースとか使ってみたいところなのですが、
スピードはSSDには遠く及びませんし3.5インチのHDDを複数台まとめるとなると
それなりなサイズになるので現場に持ちだすのはちょっと避けたい重さです。
 
 
 
■そして秘密兵器に
ということで、行き着いた答えは…
SSDでRAIDを組む!
これしかありません。
  
4枚のSSDをRAID-0で組んだおかげで
4Kのオリジナル素材は軽く走り、データのコピーも爆速。
駆動部がないのでとても静かで熱くならず、
サイズもちょっとしたHDD並で軽いし現場にも持っていける。
もう文句無いです!
 
AKiTiOのこちらのケースのインターフェースはThunderbolt 2が2基なので、使い勝手がいいです。
その内Thunderbolt 3のものが出てきてしまいそうなのですが
iMac 5Kで走らせる分には全く申し分ありません。
 

 
 
 
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こちらがサイズ比較。左はRaCieのLittle Big Disk Thunderbolt。
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ちなみにこれも分解して以前使用していたTOSHIBA製のSSDに入れ替えてあります。
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こちらがデータ読み書きの比較。まずはHDD。

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こちらが単体のSSD。HDDの倍以上ですね。

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そしてこちらがSSDのRAID-0。数字だけでも次元が違うことが分かります。

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現状コストパフォーマンスを考えるとこれ以外の選択肢はないので
ひとまずこれで大容量データ時代を乗り越えていこうと思っております。

  

塚本